ナガの旅 その4 ~ シンディからラヘー

ナガ, ミャンマー各地,

9時半、トラックは出発した。運転席と助手席の後ろに奥行きが狭いけどシートがある。助手席も入れると全部で4名座れる。そこに我々が乗り、荷台はたくさんの荷物と若干名の乗客が乗った。シンディーとラヘーの間には乗客専用の車というのがない。バスが走れるような道じゃないので、車というと大型トラックがほとんどだ。そこに荷物を積み、乗客も乗り込む。基本は荷物なので、乗客は運転手と交渉次第というようになっている。

トラックは快調に走る
トラックは快調に走る
途中ですれ違ったトラックに乗っていたナガのギャルたち
途中ですれ違ったトラックに乗っているナガのギャルたち

この道は私にとっては2回目、前回は2002年だった。そのときは非常に悪い道だと記憶していた。雨季になると至る所で分断されるので、乾季しか走れない道だ。雨季には馬しか通れないといっていた。前回の記憶のままトラックに乗ると、崩れ落ちそうな山道ではなく、ちょっと期待はずれだった。こういうのを期待はずれというのはおかしかもしれないが、「ナガに行くのは大変だ」と、いつまでも思いたい私だった。

ラヘーへの道はかなり良くなっている
ラヘーへの道はかなり良くなっている
立派な吊り橋もある
立派な吊り橋もある

道が良くなった理由はすぐに分かった。いたるところで道路工事をやっているのだ。以前は補修工事しかやってなかったのが、今は本格的な道路を作っているのだ。今年の1月にイラワジデルタのミャウンミャに行った時も同じだった。入域許可が必要な奥地の村でも道路を盛んに作っていた。今、ミャンマー中で道路工事をしているんだろう。

砂利はハンマーで人力生産
砂利はハンマーで人力生産
ブルドーザーはしばしば見かける
ブルドーザーはしばしば見かける

トラックの運転手は28才のカムティーシャンの若者だ。この道を運転しても6年になるという。一度も事故にあったことはないと言う。たしかに、緩急をつけた走りっぷりはまだ若いのに余裕も感じた。彼はカムティー生まれではなくホマリンから来た。奥さんもカムティーシャンで子どもが二人いる。家族の話をするときはちょっと嬉しそうだった。どおりで、若いのに安全運転第一のわけだ。

前方に大きめの村が見えてきた。トラックに乗って3時間近くなり、腹も減ってきた時分だ。運転手は木陰に車を止め、昼飯時間となった。ナガのドライブインは簡素な草葺きの小屋だが、表には大きなポスターがかかっていた。あれ?サッカー選手?

腹が減ってきたころ、前方に村が見えてきた
腹が減ってきたころ、前方に村が見えてきた

Chelsea? チェルシー・・・ おお、イングランド・プレミアのチェルシーか。サッカーに疎い私でも、チェルシーの名前は聞いたことがある。ミャンマーではなぜかプレミアリーグが大人気だからだ。あれ? ユニホームがSAMSUNGになっている。スポンサーなのかな。右側には GRAND ROYALと書かれたウィスキーのビンがあるぞ。Grand Royal はミャンマーのウイスキーで、かなり有名なブランドだ。ナガ族は酒飲みが多いが、みんな自宅で作っているので自給自足。最近はウイスキーを飲むようになったんだろうか? サッカーの問題はだいたい片付いたが、新たな疑問が湧いてしまった。

ナガの村にサッカー選手のポスターが
ナガの村にサッカー選手のポスターが

でも、腹が減っていたのでそんな疑問はすぐに忘れ、皿に手が伸びた。豚のカレーにシカの干し肉だ。ミャンマーでは一般的な豚のカレーが出るなんて、シンディ、ラヘー間を通るビルマ族の人たちが増えたんだろう。以前は政府と軍関係者以外はほとんどナガ族だったラヘー、このルートを通る人たちはほとんどナガ族だった。 

もう一皿はシカの干し肉。これはお勧めだ。私が今まで食べたことのある干し肉で一番うまかったのがこのナガにあるシカの干し肉。干し肉といってもあまり固くない。半生干し肉だ。噛むと上品な肉の味が口に広がり、スモークの香りが鼻孔をくすぐる。臭みは全くない。書いていてまた食べたくなってしまった。でも、自分用のお土産で買った干し肉はとっくの昔になくなってしまった。という、絶品のシカの干し肉、ナガに行く人がいたらぜひ食べてみてほしい。

昼飯は豚カレーにシカの干し肉
昼飯は豚カレーにシカの干し肉

 ひさしぶりの鹿肉に満足した昼飯も終わり、またトラックに乗り込んだ。標高も高くなり、ナガらしい風景になってきた。焼き畑を終えたばかりの山もある。急カーブをいくつも曲がり、ラヘーに近づいてきた。 

焼き終えたばかりの焼き畑
焼き終えたばかりの焼き畑
2,000m級の山々が連なる
2,000m級の山々が連なる
どこまでも続く山道
どこまでも続く山道
一度で曲がれない急カーブもある
一度で曲がれない急カーブもある

前方の山腹に大きく広がる村が見えてきた。懐かしきラヘーだ。

「熱烈歓迎、ラヘー町、標高4213feet」と書かれたラヘーの入り口
「熱烈歓迎、ラヘー町、標高4213feet」と書かれたラヘーの入り口