菩提樹の下で
マンダレー近くのアマラプラにマハーガンダーヨン僧院がある。多い時期は500名以上の僧侶が修行をしている。ウーぺーイン橋のすぐ近くにある僧院だ。そこに英語が達者な30代の僧侶がいる。キラサ師である。ミャンマーでは年若いときに僧侶となる者が多いが、キラサ師のように大学卒業後仏門に入ったというのは珍しい。
ウーペイン橋が見える大きな菩提樹の下で話を聞いた。こりゃ、仏陀と村人の図だと勝手に一人で納得した。彼の夢は一人山にこもり瞑想だけを続けることだという。僧侶として僧院にいても雑事に追われて瞑想だけで過ごすことはできないらしい。眉目秀麗、頭脳明晰な彼は仏教への熱い思いを語っていたが、近寄りがたい雰囲気はない。友人と話をしているような感じだ。それで調子にのり、「好きな人はいなかったの?」とちょっといじわるな質問をした。「大学生のときに愛した人がいたんだ」と、キラサ師。そんな話を聞いて何だかうれしくなった。
キラサ師とこちらの距離は3mばかり、その間を牛がゆっくりと歩いていく。インドっぽいその光景にますます嬉しくなる。アヒルもがあがあ言いながら勝手に通っていく。で、最後は白人のおばちゃん二人がぺちゃくちゃ話しながら、我々の間を通り過ぎた。ありゃ、さすがにちょっと驚いた。これはいいことか悪いことか。キラサ師はただ笑っていた。
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