ビルマ語(ミャンマー語)の入力方法

IT, ビルマ語(ミャンマー語), ミャンマー絡み

ビルマ語の入力方法は多すぎてよくわからない。

UNICODE以前の1990年代は、ほとんどのビルマ語フォントはアルファベットの領域に直接文字を割り当てていた。ビルマ語フォントは国による標準も国際標準もなかい無法状態だったったので、文字の配置もフォント作成会社が各社独自に決めていた。当然、フォント毎にキー配列が違っていた。

2000年以降、UNICODEがだんだんと使えれるようになってきて状況がちょっと変わってきた。UNICODEでは世界中の多くの言語と同じように、ビルマ語も特定の領域を割り当てられた。やっと国際標準の仲間入りができたのだ。ただ、英語以外の文字は入力するために何らかの仕組みが必要だ。日本語だとUNICODE以前からキーボードには標準でJIS日本語キーボードがあり、WindowsもMacもOSの中に標準でカナ入力とローマ字入力という2種類の日本語入力システムを提供していた。どんなフォントを使おうが入力方法はこの2つから選べばいい。タイやインドや中国など多くの国で同じように標準の入力システムがあった。でも、ミャンマーは違った。

WindowsやMacがビルマ語をサポートしていないので、OSの中にビルマ語の入力システムがない。フォントを作成している会社が入力用ソフトをセットにして提供しないといけないのだ。国による標準があればまだよかったのだが、それもなかったため、フォント作成会社がまたもや各社毎にキーボードの文字配置を決め、その入力システムとフォントをセットにして提供した。その結果、UNICODE以前と同じようにフォント毎に入力方法が違ってしまった。

ただし、違うといってもビルマ式タイプライターの流れを汲むものがほとんどなので、基本文字の位置は大体同じだ。ビルマ語は基本文字に符号が付随して合成文字を構成するのだが、その符号や合成文字の書き順が各フォントで違っている。

今まではフォントと入力システムがセットになっていたが、最近入力システムだけのものも出てきた。そのひとつがBurglishという入力システムだ。ここのサイトはオンラインビルマ語入力になっていて、 ブラウザとネット環境さえあればWindowsでもMacでもUnixでもすぐに利用できる。ビルマ語フォントはあらかじめインストールされていないといけないが、Zawgyi-One, UniBurma, MyaZedi, Padauk, Parabaikなどを使用できる。Burglishの入力方法で面白いのは、日本語のローマ字入力と似ているところだ。

日本語のローマ字入力のようなBurglish

myanとタイプすれば、myanと発音するビルマ語の候補が9種類出てくるので、その中から選択する。日本語のローマ字入力と似ている。これなら新しいキー配列を覚える必要がないし、ビルマ語を多少しゃべれるが文字を覚えていないという外国人には使いやすい。ミャンマー人でもビルマ語入力の初心者には好評だ。Burghishという名前自体、BurmeseとEnglishを合体した造語みたいだ。また、Burglish式以外にも文字リストからマウスで選択する方法と、ビルマ式タイプライターの方法も使える。実際に使うときは、ブラウザに表示されたビルマ語をコピー&ペーストでワープロやメール等のソフトに貼りつける。ソフトをインストールしなくていいので、気軽に使うことができる。

Burglishはオンラインだが、オフラインでも使えるのが、パソコンにインストールするWaitZarだ。残念だが、Windows用しかない。こちらもWaitZarタイプと称しているローマ字入力式があり、myanと入力すると候補が出てくる。ただ、Burglishの場合は候補が9種類出てきたがWaitZarは2種類しか出てこない。どちらがいいのかビルマ語のよくわからない私にはわからない。また、WaitZarにもビルマ式タイプライターの入力方法もある。

Burglishと似ているが候補の数が少ないWaitZar

ローマ字式ではMyMyanmarというのがある。インストールするとMyanglishとかMyRomanという名前のローマ字入力式が可能だし、タイプライター式も使える。ただし、注意が必要。3年くらい前にWindows XPにインストールしたらいくつかのソフトで日本語が文字化けするようになった。どうもMyMyanmarが原因だったようだ。MyMyanmarのWEBサイトにも、システムレベルまで変更を加えているというような記述がある。インストール時にビルマ語での説明しかなかったため、適当にクリックしてインストールしたのが悪かったのかもしれない。今のバージョンがだいじょうぶかどうかは不明だが、十分注意が必要だ。

最近知ったのは、KeyMagicというオープンソースの入力システムだ。ローマ字式はないがビルマ式タイプライターはMyanmar3, Parabaik, PangLong Shan, Zawgyi-Oneと各種揃えている。それに、Windows, Mac, Linux用と対応しているのがすごい。それになんといっても、オリジナルのキー配列を作れるのだ。これを利用すると、WindowsでMac式もできてしまう。

キー入力タイプが選べる

他には、各フォントが用意している入力システムがある。多くのビルマ語フォントはダウンロードするとフォントだけじゃなくて入力システムもインストールするようになっている。ただ、フォントによってはこの入力システムがPCに悪さをする。**をインストールしたらPCの調子がおかしくなったというミャンマー人も多い。それに、使用フォントを変えるたびに入力方法も変えるなど日本人からするとありえない。ということで、フォントはフォントのみインストールするのがいいだろう。

最後の入力方法は前々回に紹介したMac式だ。これはタイプライター式とローマ字式のいいとこ取りをした入力システムだと思う。Windowsは前回紹介したように来年発売されるWindows8ではビルマ語がサポートされる。現在の開発者版ではキー入力はタイプライター式であるMyanmar3とほぼ一緒だ。正式発売のときはどうなるか楽しみだ。

ここで、各入力方法をまとめてみた。

   ローマ字
入力
 タイプラ
イター式
  対応OS  安全性  おすすめ度
Burglish 全部
WaitZar win
MyMyanmar win
KeyMagic win, mac, linux
各フォント専用 winが中心
Mac OS X Lion mac

たまにしかビルマ語を入力しない人だったら、インストールの必要がないオンラインタイプのBurglishがダントツで一番だ。ビルマ語の入力が多い人の場合、WindowsならKeyMagicがおすすめ。インストールが必要だけど安全性が高いし、やる気さえあれば自分でキー配列を作ることだって可能だ。Macの場合はLionに採用されたMac式が一番。ただ、従来のタイプライター式に慣れている人だったらWindowsと同じくKeyMagicだ。そして来年Windows8が出たら、一気にWindows方式が標準になりそうだ。

ここに書いたビルマ語の入力方法、自分で実際に使ったりネットで情報を集めたが間違っているところもあるかもしれない。詳しい方、教えてください。次回はUNICODE編を予定しています。