僧侶のデモ

ミャンマー時事

日本でもミャンマーの様子が毎日報道されるようになった。僧侶のデモである。ブログの前の記事で、やらせ?というようなことを書いたが、全然違う雰囲気になってきた。ミャンマーでは僧侶が非常に尊敬されているので、軍も手出しはできない。ただ、ひとつ不思議なのが僧侶のデモがあまりにも計画的に整然としていることだ。

毎日新聞の記事によると、

在バンコクのミャンマー人民主化団体によると、「全ビルマ僧侶連盟」は先月中旬から物価高騰に抗議するデモが起きたのを受けて、民主化を目指す若手僧侶を中心に結成された。

反政府デモを組織的に指揮できるような組織が1ヶ月足らずでできるわけない。ということで、ヤンゴンに住むミャンマー人に聞いてみた。

今回は本当のお坊さんたちだという。というのも、88年のデモのときには、ニセ僧侶もかなり混じってい たからだ。また、僧院によってデモをするところとしないところがあるという。デモに参加している僧院は全体の中では一部の僧院 で、その僧院の中から若い僧侶たちが参加しているらしい。そうした僧院同士で連絡しあっているのだが、「全ビルマ青年僧侶連盟」が後ろにいるのではないかと言っていた。この団体はタイに本拠がある反政府の僧侶たちによるグループだが、ミャンマー国内でも同調する僧侶たちがいて、密かに組織化されていたようだという。24日には一般市民にも呼びかけて大きなデモをやるそうである。

そのミャンマー人に僧侶のデモについての個人的感想を聞いてみた。
「最初はお坊さんたちのデモに共感したけど、最近は政治的になっていてちょっとおかしい」
と言っていた。政治的になることがおかしいというのは、ミャンマーやタイでの上座部仏教では共通した考え方だ。僧侶になるということは、現世との繋がりを切ることだからだ。親も子も妻も家も地位も金も全ての縁を切ることで、修行に励むことができるのである。もちろん、政治には関係しない。ミャンマーの仏教が仏教が生まれた頃に近い形で残っているのはこうしたことがあるからだ。
もう一人、日本に住むミャンマー人に聞いてみた。この人は難民の資格を得た人で、英字新聞にも時々投稿している。その人が、「みんなクビだ」と過激なことを言っていた。彼は仏教については非常に純粋なところのある人で、彼からすると、「反政府だろうが親政府であろうが、政治活動するのは僧侶ではない」という。

私が聞いた二人は僧侶のデモに批判的だったが、ミャンマー人の多くがそう思っているのかは分からない。 これからデモの規模が大きくなると、不測の事態が起こるのが心配だ。