ナガの旅 その12 〜 風流なポンニョンの朝
朝早く目が覚めた。僧院の板の間に寝袋だったので熟睡はできなかったが、朝早く目覚めるのは気持ちがいい。いや、他の人たちは私のいびきであまり寝られなかったようだが・・・。気持ちがいい朝は、快い便意がもよおしてくる。村のトイレ事情調査も兼ねて、昨日納豆をもらった家のほうへ歩いて行った。
昨日の家を通り越すと家はすぐに途切れ、下りの斜面になった。おお、あった。竹で小さな家。あれこそポンニョンのトイレだ。斜面に数軒ボツンボツンと建っている。なかなか風流な風情だ。そのひとつのドアを開けた。木の床の真ん中に四角い穴が開いている。匂いはほとんどしない。気持よく朝の仕事が終わった。
トイレのある斜面は気持ちのいい風が吹いていた。鳥の声も聞こえる。正面には山があるが、そこに行くには一度谷まで下りまた登らなければいけない。3時間はかかるだろうか。
鳥の声と虫の羽音(バイノーラル録音)
次に教会へ向かった。その途中、竹林があった。ナガの竹は日本のとは違い、密集して数十本生えている。そうした密集地が何箇所かある。この竹を見ると、「ああ、ナガに来たんだ」といつも感じる。この竹はタイミンチクと日本では言われているらしい。日本には沖縄を除きほとんどないが、台湾や東南アジアでよく見かける竹だそうだ。
その広々とした竹林にさっきと同じように風流なトイレがポツンポツンと建っている。いや、これはトイレというより厠と言ったほうがいい。野点でもできそうな雰囲気だ。このポンニョン村、今までのナガの村とはかなり趣きが違う。魑魅魍魎が出てきそうな荒々しさや闇があまり感じられない。山の上の比較的平坦な土地で見晴らしもいいという地理的な理由もあるが、人もオープンで穏やかだ。風流なナガという名前を付けたくなる。
ラヘーから最も遠い「奥地」が一番開(ひら)けていたというのは、2006年に行ったレイシと同じだった。レイシはラヘーの南にある大きな町(村?)で、南部ナガの中心地だ。そこに行ったのが2006年、土橋先生と一緒だった。レイシには、ラヘーと同じようにトラックで入った。レイシから奥の村は当時は歩くしかなかった。片道4日の山道を毎日数時間歩いた。最後に着いたのがインド国境に近いソムラだった。レイシから4日も歩いて行く村だからさぞかし辺境の地だろうと思っていたが、最も大きくて最も開けていたのがソムラだった。
ミャンマー側から見ると最も奥でも、インド側から見ると逆に一番近い。インフラが整っていて「文明化」したインド側のナガ、そこから近いソムラやポンニョンが開けているのは当たり前のことだった。
教会に着いた。今まで訪れたナガの村には教会がなかったが、ポンニョン村では一番見晴らしのいい場所に立派な教会があった。中を覗くと牧師が説教をしていた。牧師も信者たちも全て女性たち。男より女のほうが真面目というのは、ナガも同じだった。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません