爆弾事件

ミャンマー時事

21日にヤンゴン、24日にカレン州のパアンで爆弾事件があった。朝日新聞によると、21日の事件は、「強壮なビルマ学生戦士」(1999年にバンコクでミャンマー大使館占拠事件を起こした)による犯行声明が出ている。24日の事件については、珍しく国営紙の New Light of Myanmar がこの事件を報告している

ミャンマーは少数民族の独立闘争が長く続いていて、国境地帯では今でも散発的に武力衝突が起きている。だが、国境地帯以外でテロ事件が起きることは非常に少なく(90年代以降)、中国やタイやラオスなどの近隣国と比較しても、治安の点ではより安全な国だった。文化的理由以外には、アウンサンスーチー氏が非暴力を唱えているのが大きな理由だと思われるが、他にもうひとつ理由がある。軍情報局 MI の力である。MI は国民を監視する役割があった。88年以降、MIの監視能力が落ちてきたと聞くが、それでも全国に目を光らせていた。そのMIが10月の政変のため現在は活動停止に近い状況にある。今回の爆弾騒ぎが2件続いたのもこれが影響しているのではないか。

この件に関連して、興味深い記事があった。ビルマ共産党がインタビューに答えた記事である。共産党が「Demo-2006」を計画しているという内容である。それは、2006年に暴動を引き起こそうというものだ。ビルマ共産党は80年代までは中国共産党の支援があり、かなりの勢力があったが、今ではかつての支配地域の大部分をなくし、勢力が大幅に小さくなっている。したがって、この計画が成功するとは思えないが、記事中の一節に目が行った。「軍事情報局が著しく弱められており、組織が再構築されるまでかなり時間がかかる。これは、地下工作するのにまたとない機会だ。」というような内容である。

アウンサン将軍自身が共産主義指向があったということもあり、ミャンマーでは未だに共産主義に対してシンパシーを持っている知識人が多い。NLDの中にも共産主義に傾倒している人物はかなりいるという話を聞いているし、アウンサンスーチーの言動にも若干その傾向が伺える。そういったことを考慮すると、共産党の動きにも注意が必要かもしれない。