津波の被害

ミャンマー時事

今回のスマトラ沖地震では津波で甚大な被害を周辺諸国に与えているが、ミャンマーからのニュースが非常に少ない。最初に入ってきたのは、最南部、コータウンで10名死亡というニュースで、次に、イラワジデルタで36名死亡のニュースだった。他国は映像とともに刻々と被害状況が入ってきているが、ミャンマーだけは情報不足のままである。最新のニュースだと、ヤンゴンのユニセフ事務所からの報告がある。これによると、「信頼できる情報によると、津波により少なくても90名が死亡した」また、「政府の発表によると、17の沿岸の村が破壊された」とある。実際の被害状況はまだ全然分かっていないようだ。ミャンマーの場合、マスコミは完全に統制されていて、自然災害なども今までほとんど報道されていない。こうした軍政の秘密主義が、今回の津波についての情報不足の大きな原因だろう。それと、実際にどれくらい被害があるのか行政府自体が実情を把握できていないと思う。地方の村へ行くと電話が全くないのは珍しくない。軍があれば軍の衛星電話があるが、なければ全く情報が隔絶されているというのはたくさんある。

今回の津波の影響が最も大きいと思われるのが、タニンダリ管区のメルギー諸島だ。ここは大きな被害のあったプーケットの北に位置していて、多くの島々が点在している。一部を除き、外国人には解放されていない地域だ。小さな島には電話などの連絡手段が全くないと思わる。また、この地域に古くから住むサロン族(モーケン族)は別名、海のジプシーと呼ばれているように、島々を渡りながら生活していく民族だ。最近でこそ定住化が進んでいるといわれているが、政府が把握しているのも一部だと思われる。こういう状況では、被害に遭っても把握するのが難しいのではないか。彼らは今でも海と共に生きている人たちなので、津波の被害が心配だ。