ブッシュ新外交とミャンマー

ミャンマー時事

国務長官に就任予定のライス統領補佐官が18日、上院外交委員会の公聴会で発言した(毎日新聞)。その中にミャンマーにも言及した部分がある。

証言のうち最も「新味」があったのは、世界に残っている「圧政の先陣基地」としてキューバ、ミャンマー、北朝鮮、イラン、ベラルーシ、ジンバブエを名指しし、米国は「弾圧されている国民の側に立つ」と明言した部分だ。

ブッシュ大統領の2期目もミャンマーに対する外交姿勢は変わらないようだ。アメリカがミャンマーに対して圧力をかけるようになったのはクリントン大統領の時代からだ。当時は、「ミャンマーを中国の支配下に置くためにわざと圧力をかけた」というような陰謀論めいた噂も聞いたこともある。アメリカが経済制裁することによってミャンマーが中国を頼らざるを得ない状況にわざとしたというのだ。クリントン時代はアメリカは親中国だったので、中国のためにミャンマーを引き渡したという論だ。現在の状況を見るとその通りになっているのだが、これはいくら何でも陰謀論すぎるだろう。アメリカはミャンマーに対して、これといった経済利権や安全保障上の問題はない。アメリカにとって民主主義や人権などの大義名分を表明するのに最も適した国がミャンマーだったとうところが真実に近いのだろう。では、アジアの他の国はどうであろうか。例えば中国、民主主義や人権ではミャンマーと同じほど問題のある国であるが、経済制裁など話題にも上らない。経済的に大きな魅力があるし核兵器を保有する軍事大国だからだ。ベトナムも民主主義や人権で問題があるが、ベトナム戦争の負い目のあるアメリカはあまり強いことは言えない。パキスタンはミャンマーと同じ軍事政権であるが、アフガニスタンでの「テロとの戦い」で協力してもらっているので非難できない。ミャンマーの場合は経済的利権は少ないし、安全保障の問題もアメリカはあまり重要視していない。ただ、アメリカの対中国姿勢が変化したり、インド洋での中国の動きが活発化したら変わる可能性はある。