少年とガラクタと宝物
バガンから船でエーヤーワディ川を遡り、対岸のパコグーの町に渡る。そこから北へバスで約2時間、パカンジーという村がある。ここは、乾燥地帯のミャンマー中央部でも最も乾燥している地域だ。ここには日本のNGO団体、オイスカの農業研修所もある。また、バガン王朝時代、ここにも城があったという。どおりで遺跡がいくつか残っているわけだ。
暑期4月にここを訪れた。聞きしにまさる暑さだった。日中は45度を超す。そよ風は熱風、さわる全てのものが熱い。というわけで、活動時間は自然と早朝になる。この時だけは気温が体温よりも下がる。村へ散歩に出かけた。牛車、山羊の隊列、水瓶を頭に載せた女たち、暑くなる前に働いていた。そんな村で少年二人と出会った。彼らが、こっちこっちと手招きする。ついて行くと、そこには巨木がそそり立っていた。その太い幹はしわだらけだ。大きなしわの奥にはぽっかりと穴があいていた。その穴に手を入れて、何やら取り出す。小さな手から、ビンのフタや何かのポリ袋などのガラクタがはみ出ている。それを私に見せたかったらしく、さも自慢げに差し出した。そう、それは彼らの宝物だった。
同じだった。私も子供の頃、ビー玉やら貝殻やら何かの電子部品やらを集めて隠していた。ガラクタがそのときは輝いていた。いやガラクタではない、それらはいわれのあるれっきとした宝物だった。しかし、その宝物も時間と共に輝きを失い、ただのガラクタへと変わってしまった。それがいつだったか今となっては思い出せない。
ディスカッション
コメント一覧
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ミャンマーに惹かれるのは、私たちの子供の頃の風景がそこにあるからなのですね。ミャンマーも日に日に変わっています。後藤さん、きれいな眼をしたミャンマー人の写真をたくさん撮って後世に残してくださいね。
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知り合いのミャンマー人も、「田舎の人はいい人が多いけど、ヤンゴンの人は信用できない」などと言ってます。どこの国でも「都会化」「近代化」すると人の目が変わってきますが、ミャンマーでも同じなんでしょうね。