すごいぞ、シンガポール ~その2

ミャンマー絡み

今年の夏にシンガポールに住むミャンマー人の友人が来た。東京を案内したときに、電車のホームのキオスクでジュースや食べ物を売っているのを見て驚いていた。シンガポールでは駅の構内で飲食をしたら罰金だという。その友人は山手線のホームでジュースを飲んでいる姿を記念写真に撮り、喜んでいた。で、今度は私がシンガポールの電車に乗った。社内には飲食禁止のシールが貼られていた。飲食で$500、タバコで$1,000、可燃性液体・ガスで、$5,000と書かれていた。1シンガポールドルが70円ほどだから、飲食の罰金が35,000円だ。駅の構内も電車の車内も東京よりずっときれいだし、マナーも今の日本人よりいいかもしれない。

シンガポールでは76.7%が中国系を占めている。私は昔よく中国に行ったのだが、中国人のマナーは非常に悪かった。所かまわず痰をはき、子供はどこでもしゃがみ込んでおしっこをしていた。また、順番に並ぶなどありえず、列は割り込むものであった。まあ、外国人旅行者からするとこんな中国の姿もまた面白かったのだが。そんな本家中国と比べるとシンガポールは全く違っていた。これはマナーに対しての厳格な罰金制度があるからであろうか。また、シンガポールでは麻薬に対する刑罰の厳しさでも有名だ。ついこの間もベトナム系オーストラリア人が死刑になった。1991年以来、麻薬密輸の罪などで約420人が処刑されたという。
http://cnn.co.jp/world/CNN200512020001.html

シンガポールの政府というとリー・クアンユーが有名であるが、実はこの国が未だに一党独裁だとはあまり知られていない。私も今回初めて知った。
Wikipedia のシンガポール編に簡潔に書かれている。

人民行動党の一党独裁。野党の存在は認められているが、その言論は大きく制限され、投獄や国外追放などの厳しい弾圧に晒されている。21歳以上の全国民が選挙権・被選挙権を持つ普通選挙だが、野党候補を当選させた選挙区民は、公団住宅の改装が後回しにされるなどの“懲罰”を受ける。

また、政府による選挙干渉やゲリマンダーは日常化しており、選挙は外国からの独裁批判をかわすためのお飾りの色合いを濃くしている。しかし、「政治的安定」を享受していると肯定する意見もある。

シンガポールの独裁はいわゆる開発独裁であるが、独裁という意味では、ミャンマーや中国やベトナムとあまり変わらない。ASEANの中でシンガポールがミャンマーをフォローする立場にまわることが多いのも分かる。東アジアの他の国、インドネシア、フィリピン、台湾、韓国などもちょっと前までは独裁であったが今では民主化されている。東南アジアで最も経済発展しているシンガポールが今でも一党独裁というのは不思議である。現在の繁栄を失いたくないから政治体制も現状維持がいいと感じているのだろうか。シンガポール人がどう思っているのか知りたい。

リー・クアンユーの独裁による現在の結果を見ると、ついついネウィンの独裁と比べたくなる。何がどう違って今の差になっているのだろうか。面積が全然違うし民族も歴史も違う両者を単純に比較はできないのだが、やはり共産主義を標榜し東側についたことが間違ったのだろう。最初のボタンの掛け違いである。韓国と北朝鮮の差を見てもそうだ。西側陣営のアジアの開発独裁国は、多少の問題はあるにしても結果的には多くは民主化され経済的にも繁栄している。それに、民主化されていないシンガポールや軍事政権のパキスタンなども国際的にあまり批判されない。ネウィンが引退後、ミャンマーも遅ればせながら社会主義を捨てボタンをかけ直そうとした。しかし、完全にかけ直す前に今度は中国べったりになってしまった。ますます心配だ。