ナガの旅~その4~いろんな部族が住むレイシ
レイシでの休養日、朝食会に呼ばれた。役所や軍やナガ委員会などのレイシの偉い方たちが10名ほどと一緒の朝食会だ。ゲストハウスができたといえ、日本人旅行者が2名来ただけでわざわざ朝食会を開いてくれるとはまだまだ外国人は珍しいのだろう。その席でD先生が流暢なビルマ語で話し出す。みんな、ほう~と感心している。そこで、D先生がヤンゴン留学時代の写真を取りだした。そこには50年近く前のナガの男たちも写っている。みんな興味深げにその写真を見て場が盛り上がってきた。「なんたら村のおじいさんではないか・・・」などと話しているようである。ところで、朝食会で出た食事であるが、ナガ飯ではなく、コーヒー紅茶にトーストと西洋式であった。
私は初めての地だと、挨拶くらいはできるようにと簡単な地元の言葉を教えてもらうことにしている。写真を撮るときにも役立つ。ここレイシはタンクンナガが最も多いが、その他にもマグリ、パラ、クキ、ノッオウなどの部族が住み、言葉も全然違う。同じ部族同士だと部族の言葉で話すのだが、違う部族同士だとビルマ語で話すそうだ。ここレイシあたりに住むナガの人たちはほとんどビルマ語を話せるようである。でも、ナガの他の部族の言葉は話せないという。以前、カチン州プタオの奥の山へ行ったとき、リス族やラワン族もジンポー語を理解していた。ジンポー族が最大勢力だったからだ。でも、ここナガでは共通語はビルマ語である。地域を長期間統一するような大きな勢力が歴史的に生まれなかったのだろう。カチンのほうだと、山奥といっても人が住むのは山の麓であり、平地もけっこうある。近くの村まで行くのもそれほど大変ではない。中国商人が定期的に薬草を買い付けにくるくらいだ。しかし、ナガだと村は山の頂上にへばりつくようにかたまっている。隣村に行くのに谷まで1000m下り、また1000m登らなくてはいけない。そんな土地だから人の交流も少ないし、広い地域を統一することは困難であろう。
で、結局トンクー、マグリ、パラ、クキ、ノッオウの簡単な言葉を教えてもらうことになった。ちなみに、
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ありがとう 私 あなた
タンクン カイェーマラーヨゥ ハー ヌン
マグリ ラウジィレ ? ?
クキ イマスースー ハラマーハ レッラマーラ
パラ アエィロゥツラァ アー ニョー
ノッオウ クワインロゥムジー ? ?
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というように、部族によって全然違う。方言での違いなどではなく、全く別の言語だといってもいいだろう。
せっかく言葉を覚えても、レイシでは使い方が難しい。相手の部族を聞かなければどの言葉を使っていいかわからない。そんなことだから、ビルマ語で「あなたは何族?」と聞いてから、メモを見ながら「お元気ですか」と挨拶するというマヌケな状態であった。地元の人たちはほとんどお互いに顔を知っているので私のようなマヌケ状態になることはない。
ちょっと長くなったので、恐怖の按摩おじさんの話は次回にします。
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