熊野古道、ひとり歩き | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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熊野に初めて行ったのは2003年の秋であった。小辺路、中辺路、雲取越えと一人で歩いた。運動不足の体にこたえたが、3日目ほどから体も慣れてきて、歩くことが楽しくなってきた。氷雨も体に気持ちいい。 山の中を歩いて、あることに気がついた。もしかして、日本の山が世界で最も辺境地のひとつではないか。たとえば、ミャンマーのチンやナガの山奥へ行くとたしかになにもない辺境地だ。だが、村があり人が住んでいる。畑もあり人の匂いがする。ところが、熊野の山は麓の里以外は人は住んでいなかった。以前あった村は廃村になり、山道沿いの茶屋や宿は跡形ものなく朽ち果てていた。それに、小辺路の山中では丸一日歩いても誰とも会わなかった。出会ったのは、その昔多くの人々が通っていた記憶だけであった。 |
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