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オリエンタルキッチン マリカ   Oriental Kitchen Malihka

場所
JR高田馬場駅 早稲田口より徒歩5分

地図
住所
新宿区高田馬場1-25-29 サンコール3F
電話
03-3207-8114
営業時間
11:30〜15:00(ランチタイム)
17:00〜24:00(平日ディナータイム)
17:00〜4:30(土日ディナータイム)
席数
約30席
休み
月曜日(月曜日が祭日の場合は営業)
創業
2008年10月
客層
夜はビルマ人が多い、ランチは日本人が多い
特徴
カチン族の夫妻が営む、日本唯一のカチン料理の店。現地のレストランでも食べられない珍しい家庭料理メニューが多い。カチン地方は気候が日本と少し似ているせいか、タケノコや山菜、オクラやショウガなどがたくさん使われた料理は馴染みやすい。
 
注)
2006年10月以前は、この場所はオリエンタルキッチンというミャンマー料理店でしたが、オーナーが変わり、マリカというカチン料理の店に変わりました。ただし、正式の店名は「オリエンタルキッチン マリカ」というように、「オリエンタルキッチン」という名前を残しています。

※写真クリックで大きな写真

ビルの入り口には明るい看板。料理の写真は旧オリエンタルキッチンのものなので、今とはちょっと違う。

3階に上がるとちょいしゃれた店の入り口



今日のアトウ


マリカサラダ(アユエ・トゥ/カチンの家庭サラダ)700円

とにかくボリュームたっぷりに、野菜、きのこ類がざくざくと入ったサラダは、とってもヘルシーでうれしい。。インゲン、小松菜、オクラ、ニラといった日本でも馴染み深い野菜に、これまた日本的なワラビ、タケノコといった山菜、エノキやエリンギなどのきのこをベースとして、トマトベース&すりゴマのソースで和えてあるそう。もちろん、ミャンマーのアトゥらしい、砕いたピーナッツ、揚げニンニク、揚げタマネギなどがたっぷり。しかし、トマトベースとは話を聞くまで気づかなかった。たくさんの緑の野菜や山菜に、エスニックなすりゴマトマトソースがからんだサラダは、日本ではちょっとない味。カチン地方ではどこでも作る家庭料理だそうだが、納豆を入れたり、家によって材料や味はまったく違うのだそう。
by マ・ザベー

存在感のあるオクラ

 

 

マリカの自慢料理


カチン アメーダー シンコー チェ (牛肉そぼろのハーブ和え) 900円

メニューの中にビルマ語のみで書かれた謎のページがあり、何だかわからないけど興味本位に注文した一品。実はここでしか食べられないカチン族の伝統料理。現地では毎年11月の収穫祭で神に捧げられ、その後に振舞われる特別な料理だとか。一見肉そぼろのようで、ご飯にふりかけても、レタスに包んでもOK。隠し味の山椒、唐辛子、コリアンダーが少しピリっと刺激しますが、ヘルシーなハーブの香りが後に残ります。カチン州の駅の売店で、ご飯にコレがかかった「カチン風駅弁」なんて出たらいいなぁ〜、なんて。
by Ling Mu

鮮やかなパクチー、ビルマ語ではナンナンビン


アメウー ウソン チェッ (牛ホルモンの煮込み) 950円

カチン人は日本人のルーツと言われるほど、その文化は似ている。まず両者には納豆が存在する。納豆いがいにも、モツ煮がある。その食べられかたは、そっくり同じである。東京では新橋あたりで、会社帰りの庶民が、モツ煮をつっついて、ウリャア〜、と日頃の憂さを晴らして気炎をあげているが、そうした光景は、カチンにもある。カチンでも、森の下や食堂で、オッサンたちが集まって酒をのんで気炎をあげている。そして、そうした場に必ず出されるのが、この一品となる。この料理はカチンのモツ煮である。超庶民料理である。新橋のモツ煮は砂糖や醤油で甘くなっているが、カチンのモツ煮は塩味がベースで、にんにく、唐辛子がはいり、ピリ辛になっている。見た目、クリーム・シチューに見え、そう思って口にすると、なんとなく、そんな感じもする。牛肉が煮込まれてクリーミーになっているからである。すこし辛いが、慣れていくと、実に旨い。酒が進む。ウリャア〜、と叫びたくもなってくる。
by アジ春亭

モツがモツモツしている

 

カチン ガーオウン (バナナの葉の魚蒸し) 900円

鯉に似た川魚を3種類のハーブとニンニク、ショウガ、ターメリック、そして乾燥納豆等をまぶし、バナナの葉で包んで蒸し焼きにしたカチンではよく食べられている家庭料理。見た目は黒いし、いかにも川魚特有の臭みがありそうで箸を付けるのが恐かったけれど、いざ食べてみると臭みは何処へ?白身魚の旨みが口に広がります。ハーブや香辛料の分量も絶妙なのでしょう。ニンニク臭くもなくショウガ臭くもありません。きっとこれは乾燥納豆が香辛料の癖と魚の臭みを粘っこく、くっ付けているからに違いありません。酒の肴にピッタリのお勧め料理でした。ちなみにカチンでは日本と同じ湿った納豆料理もよく食べられているということです。そちらも美味しそう!たまに裏メニューで出してくれるそうです。
by こくあん

カチンではいろんな川魚を使う。今回は、インド産の鯉と似た RUFUという名の魚。

 

上海焼きそば 850円

カチン料理はその山菜中心の見た目に似合わず、数々の香辛料が隠し味になっていて、かなり強い辛さが後に残りました。ここらで口直しにフツーのメニューを頼んでみようってことで、焼きそばを注文。中国と接するカチン州には中国系住民も多く住み、現地でもポピュラーだそうです。ただ本場のものと違うのは、油っ濃さが無いこと。油抑え目が特徴のカチン料理が中華料理と見事に融合したものでしょう。それが結果的に日本風焼きそばにも近くなり、日本人からすると「フツーの焼きそば」になっちゃうんですね。カチンの味覚と日本の味覚。実は近いのかも知れません。
by Ling Mu

今回は一番普通だった焼きそば

 

ジンポーシャッチャム (北部ミャンマーの伝統まぜご飯) 850円

アツアツの石焼きビビンバの鍋で運ばれてきたのは、カチンのまぜご飯。竹の子、きのこ、ワラビ、ショウガを炊き込んだご飯の上に、チャーシューのような鶏肉。笑顔を絶やさないロイセンさんがシャカシャカと丁寧にかきまぜてくれた。この儀式が食欲を増進させてくれたのだろう、出来上がりが待ち遠しい。ひとくち、薄塩の和風チャーハンのようなやさしい味。おこげが香ばしい。トッピングの鶏肉がまたうまい。一晩タレにつけてじっくりとオーブンで焼いている。このまぜご飯、カチンでは一般的な家庭料理で、朝作ったものを時間が経って冷めてから食べるというから、「おこわ」のようななものか。カチンの正月では必ず作るというから、ますます日本のおこわと似ている。デビッドさんは、このカチン家庭料理を日本人にも食べてもらいたくて工夫して、マリカの温かいオリジナルまぜご飯ができた。う〜ん、うまい! みんなの意見が一致し、追加注文することになった。
by ウ・モス

「一人で食べるには多すぎ」とここに書いたら、H氏が、一人でも全部食うと言ってきた。K氏は二釜はいけるそうだ。食い意地の張り合いだ。

奥さんのロイセンさんが、丁寧にシャカシャカと混ぜてくれた。目と耳で食欲を刺激されたH氏、後ろで出来上がりを今か今かと待っている。

シャカシャカで米一粒一粒につやが出てきた。見るからにうまそう。

 

カチン ホットポット (カチン鍋) 3,800円 (3〜4人前)

最後のメインディッシュの担当です。その名も”カチン・ホット・ポット” 残りモノには福があるはず、と。景気付に、なぜか思わずワインを注文しスタンバイOK。さあ、お待ちかねの、黒い鍋がドーンと目の前に登場。ふわ〜っと広がる湯気の下、具沢山のお鍋が姿を現しました。ズッキーニ、おくら、肉団子、牛筋、たけのこ、青梗菜、白菜、真ん中には3本の鮮やかな唐辛子♪ スープはトリと牛ガラとのこと。乳白色のだし汁、一口目にびっくり。Hさんは一口目、甘いというのでした。
ふーむ。
ひとの意見にも、ダシの色にも、だまされてはいけない。心を白紙に戻し味わったところ、これはもう予想を超えたしっかりした味。
美味しい!
まるでうっすら塩味のトムヤンクンのようでもあるじゃないですか。辛味を抜いてダシのきいた、絶品なべは牛すじも、とろけそうなやわらかさ。スープを口に含むと、さわやかな香味野菜が鼻先をよぎる。アジアの薫りだあ。。。あっという間になべは減る。。。最後の締めに店員さんが米線(ミーシェン)を持って鍋に入れてくれる。満足な一品だあ。いつの日か家で、作ってみたいと願いつつ今年最初の鍋をこんな美味しいハナマルのお鍋で始められたのは縁起がいいとホクホク。こころも体も冷え切った人、新春にオススメの一品です。
by ぴよぴよ

二人で食べると、これだけで腹一杯になりそう

ぐつぐつと煮立ってきた。オクラも唐辛子もモツもみんな鍋の中で踊っている。

レンズが曇ってきた。カチン鍋も出来上がり

サービスでいただいた鍋シメの麺、ミーシェ。雲南の米線(ミーシェン)から名前が来ているらしい。この麺はベトナム産とのこと。

 


 

番外編

おなじみ、ミャンマービール

ミャンマーそば焼酎。シャン州の一大ケシ栽培地域であるコーカンでは、日本の援助でソバへの転作を行っている。ソバ自体は日本の品種で、そのそばから作った焼酎。

カチン料理の秘密はハーブにあるようだ。店で使っているハーブを見せてくれた。日本では手に入らないので、わざわざカチンのふるさとから送ってもらったハーブもある。

突然、カチン州の話
カチン州北部の町プタオから雪山へ行ったときの写真。カチン州は薬草やハーブがたくさんとれてるところ。このときも、ポーターの女性たちはめざとくハーブを見つけ、喜んで摘んでいた。カチン州北部の風景は、日本の山村にそっくりだった。



店のことなど

マリカとは、エヤワディ川の上流部分、カチン地方を流れている「マリ川」(カは、カチン語で川の意)からとった名前。カチン族のデビッド・トゥラゥンさん、ロイセンさん夫妻が2008年に開いた。デビッドさんは、日本へ来て目が醒めたという。「いくつかの国を経て日本へ来たが、日本はがんばればビッグになれる、世界レベルにもなれる国。将来を考えられる国」と日本でのビジネスを考えた。40歳になったら何かやりたいというのは前々からの夢だったのだとか。子どものころに父を亡くし、10人兄弟のなかで育ってきたので、小さいころから交替で料理をしていたし、ヤンゴンで大学生のとき、シャンカウスエ(シャン麺)の店で働いていたこともあり、料理は好きだったそう。カチン料理を日本に紹介できることをうれしく思っているが、将来は、ミャンマー料理全般、さらにはアジアの料理まで、提供できる店にしていきたいとも考えている。

家庭で食べられているカチンの料理は、デビッドさんがそのまま店で出すことのできないと感じるものも多いという。たとえば現地では、朝作って冷たいまま昼や夜に食べたりしている混ぜご飯を、きれいに美味しく出せるよう、石焼ビビンバの石鍋に入れて熱々で出すなど、工夫をすることで人気を呼んでいるものも多いという。アイデアマンだ。
by マ・ザベー  

左がデビッドさん、右がロイセンさんのご夫妻

店のカウンター

土日の夜になると、奥の席はビルマ語カラオケコーナーになる

 

今回の出席者。5名+撮影係=6名


雑感

●日本的な野菜や山菜が豊富に使われているが、料理法が日本とかなり違うので、「へえ!」という驚きとともに楽しめる。特に鍋は感動! ミャンマーにも鍋料理があったのかという感じだが、よく食べられているのだそう。モツと牛団子のだしがとても美味しく、野菜の意外性がいいし、エスニックなたれもよく合う。カチン地方の話を聞いていると日本との類似点が感じられ、親しみがわく。どの料理もちょっとした部分に手を抜かないで丁寧に料理されていて、美味しく、また来たい店だ。
(マ・ザベー)

●カジュアルムードの看板に誘われるまま三階のドアをくぐると突然清々しい伸びやかな空気に包まれ・・・。どちらかといえば、カチンというよりキチン(おやじギャグ、すみません。。) とした心地よい和風の空気さえ漂う、高感度のお店でした。店員さんの対応も、思わず雇って欲しい♪ と思うほどに温かい笑顔に溢れた対応。誠に恐れ入りました。
(ぴよぴよ)

●エスニック料理店にありがちなアジア風の過度なインテリアはなく、すっきりした落ち着いた印象の店である。洋風嗜好のツンツン美女を誘ってのデートにも最適である。貴方、変わった店知ってるのね、などと貴方の採点も上がることだろう。店をきりもりするのは、カチン出身のご夫妻である。お2人ともまだ若く、福福しい笑顔が魅力的な人である。その笑顔は、店にも福福しさを与えており、客は禍事(わざわいごと)を忘れ、店に居るだけでも、多幸感につつまれることだろう。
(アジ春亭)

●6年ほど前に取材したオリエンタルキッチン。料理は美味しいしお洒落だし、マスターも感じ良かったのでたびたび利用していました。そんなお気に入りの店が違う店に変ってしまったというので少し淋しい思いをもちながらドアを開けると。えぇ!?内装オリエンタルキッチンそのままじゃん!すこしホッとしました。けれど出てくる料理はビルマ料理とはだいぶ違うカチン料理(これがウマイ!)そして忙しいなか私たちの取材に丁寧に対応してくれたオーナーご夫妻。素朴で暖かい心を持った、これぞミャンマー人というお二人でした。料理はもちろんですが、ミャンマーレストランはこの心地いい人たちに会えるのが大きな魅力だと思います。オリエンタルキッチンはなくなったけれど「マリカ」すっかりお気に入りの店になりました。
(こくあん)

●以前何度か来たことのある「オリエンタル・キッチン」のあった場所にカチン族料理店が開店!ということで物珍しさから行ってみた。店の内装や席の配置、土日の夜は在日ミャンマー人のカラオケ客でいっぱいになる所は前と同じだったけど、やはり注目すべきはその独特なカチン料理。一言で言うと油控えめ、山菜を多用し、ハーブ等の香草で彩るヘルシー料理だ。そしてどこか見えない所にスパイスが隠されており、食べた後には舌がヒリヒリ、辛さが残る。ミャンマーに行ったことのある人でさえなかなか体験したことの無い、未知の郷土料理といった感じで、参加者は一口一口に集中しながら「食の冒険」を楽しんでいた。店をきりもりする店長のデビッドさん達ご夫婦も、忙しい合間を縫って丁寧に各料理の説明をしてくれた。一番美味かったのは石焼の混ぜご飯。山菜と鶏肉が沢山入ったあったかい田舎料理でした!
(Ling Mu)

●カチンというと、ミッチーナとプタオに行ったことがある。地元の食堂に行くと出てくるのは中華料理やインド料理。カチン料理の食堂は見つからなかった。どうも、カチン料理は店で食べるのものではなく、家庭で食べるもののようだ。それでもヤンゴンにはカチン料理の食堂がある。そこと比べるとマリカの料理はより洗練されてマイルドな味だ。カチンと日本が出会った料理がここマリカだと思うとうれしくなる。ところで、日本語で書かれたメニュー以外に、ビルマ語だけで書かれた裏メニューがある。納豆を使った料理などもあるという。今度はそっちも食べてみよう。
(ウ・モス)

取材日時 2009年6月24日(土) 19:00〜
飲食代 大人6人で、
16,530円
参加者 マ・ザベー
ぴよぴよ
アジ春亭
こくあん
Ling Mu
ウ・モス(撮影)


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